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自主映画や小劇場を中心に活動する俳優・外山弥生の記録です。
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インド映画にハマっています。「パッドマン」、「ダンガル」、「バーフバリ」が今のところベストスリーです(順位なし)。インド映画、強引な展開や荒唐無稽なシーンを成立させちゃう熱量も好きだし(ちょっと演劇っぽいかも)、男尊女卑が強く根付いている国という意味では日本と同じかそれ以上なのに、それをむしろ糧にした良作が多くて、ほんとハマります。

○「パッドマン」(2018/R・バルキ監督)

奥さんのために生理用品を作っちゃった実話を基にした映画です。実話に基づいていながら、歌うわ踊るわギャグやるわ、思いっきりエンタメなのがとてもいい。この映画が撮られた目的自体が女性の地位向上、エンパワメントみたいなところがあるらしいのですが、そこを説教くさくやらないの、好きです。そして、生理に興味ない人、女性でも生理軽い人のほうが、むしろ心動かされるかもってことで、「何かインド映画軽く観てみたいな~あんまりファンタジックなのはちょっとな~」くらいの人に一番おすすめしたいかも。

エンタメ作品と書きましたけども、主人公はちょっと行き過ぎた変人みたいに描かれていて、主役の俳優さんがものすごーく爽やかな美形なんですが、彼の爽やかさをもってしても中和しきれずちょっと気持ち悪く見えちゃうくらいに描かれていて、全然、主人公を「正しい人」「善」としては扱っていない。奥さんのためにやってるにも関わらず、奥さんも「生理は恥、生理について考えることも恥」っていうスタンスで主人公を非難するんですが、なんなら奥さんに感情移入しちゃうくらい。私は全然恥とは思ってないですが、それでも「奥さんの気持ちわかる…やめてあげて」って思いながら観てました。

それというのも奥さん役の女優さんが本当によくって。というか、1シーンの役に至るまで、女優さんがみんな本当に素晴らしいです。DVされてる女性が生理用品を売って初めて自分の力で現金収入を得るってシーンがあるんですけど、そのときの表情に泣かされました。なんだろう、ほんとに1シーンなんですけど、その役の人生とか生まれ育った場所の文化とかそういうのが見えて、あれ、なんなんだろうなあ。ほんとすごかった。メインの女優さんは絵画かよってくらい美人ばっかりだし、当然上手いし。女優の層厚すぎ。

最後のほうで、国連イベントでの演説シーンがありまして、最初通訳がつくんですが、それを断って主人公が拙い英語で話します。この、英語が、というか、英語での演説が、良い。徹頭徹尾良い。日本人なら英語ちょっと苦手って人でも全然聞き取れると思います。聞き取れますというか、聞き取るんじゃなくて、伝わってくるんです。語彙も少ない、インド訛りも強い、観てるこっちだってネイティブじゃない、それでも、伝わってくるんです。で、この伝わり方というか、私、最後のほうは号泣するくらいこの演説に揺さぶられたんですけど、それっていうのも主人公が前半で「正しい人」じゃなく「変人」に描かれてるのが効いてるんですよ。何この構成。

インド映画、めちゃめちゃ長いのに構成も素晴らしくって、「ダンガル」も「バーフバリ」も初めちょっと大仰だなと思って観てるんですけど観続けるうちに伏線が効いてきて最後は泣かされるっていう。いやーもう。

○「ダンガル きっと、つよくなる」(2016年/ニテーシュ・ティワーリー監督)

「パッドマン」について長くなってしまったので「ダンガル」は手短に。元国内No.1レスラーのお父さんが、娘二人を当時珍しい女性レスラーとして育てるという、これも実話に基づいたお話です。「キャプテン翼」に憧れつつ悔しかった当時の女子全員におすすめしたい。夕日を浴びて髪についた砂を振り払う逆光のカット、泣いた。

尚、これも女優がすごくって、みんな女優に見えないんです。みんな田舎のお母さんとか、レスリング選手とか、作品中のその人物にしか見えない。当たり前ながら、あとで調べたら皆さん素晴らしい芸歴のある女優さんだったんですけど、特にレスリング選手はメインのお二人も含めてほんとに本物のレスラーにしか見えないです。レスリングが上手いのもあるんですけどそういうことじゃなくて、ごはん食べててもおしゃべりしてても、小さい頃からレスリングやって育ってきた子達に見えるんだなあ。

副題はいらなかったっていうか、まぎらわしいだけだったと思いますが…。主演のアーミル・カーンの別主演作品にかけてるんでしょうけど、そもそもそっちも日本語オリジナルの題名だし、あちらはフィクションだし世界観も作風も全然共通してないので…。

で、「バーフバリ」です。

○「バーフバリ 伝説誕生」「バーフバリ 王の帰還」(2015・2017/S・S・ラージャマウリ監督)
有名な映画なんでもうおすすめですとしか言いようがないんですけど、全女性におすすめです。男性にもおすすめですがやっぱり女性として女性におすすめしたいです。そして、前後編通しての個人的最高ポイントについてどうしても書きたい。ネタバレですので追記に書きます。読みたくない方はスルーしてください。
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国一番の弓の名手なデーヴァセーナ姫が自分の腕に満足せず二本の矢を同時に放つ練習をしているけれども上手く行かず、また周りにも「女が弓なんて」と言われてるところ、賊が侵入した際にバーフバリがあっさり三本同時に放って命中させ姫を救った…で終わらずに、バーフバリはすぐに姫にコツを教え、姫もその場で三本同射をものにして共に闘うところなんですよ。これですよ。おとぎ話の定石ならば姫を救ったところで場面が終わるんでしょうけど、それより遥かに面白いし、姫が活躍するので女性としてわくわくするし、バーフバリの人間性や姫への信頼も感じられるし。ふたりで協力して六本同射するラストはこの二人のソウルメイトぶりを象徴してて、もはや荒唐無稽だがそれがなんだ!!という気持ちにさせられます。そして脳内で結婚式の司会が「二人の初めての共同作業です」ってナレーションしてる。

ちなみに二番手は、顔に浴びた返り血も拭かず自分の息子と甥っ子に同時授乳しながら政を行う国母シヴァガミ様です。こんな役観たことないわ。「強い」の象徴を根こそぎ集めて人間にしたらこうなりました、みたいな役。それを乗りこなしてる女優さんも凄い。

俳優さんもみんな良いですが、個人的ナンバーワンはデーヴァセーナ姫の従兄弟・クマラを演じた俳優さんです。作中で最も多面的で最も短いスパンで急成長する難しくもやりがいのある役を見事に演じてらっしゃいます。ああいう役、いいなあ。やれるようになりたいなあ。


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