自主映画や小劇場を中心に活動する俳優・外山弥生の記録です。
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海が見える小さな田舎町に突如現れた絶世の美女。
実は全身整形美女。
彼女がこの町にやってきた目的とは…。

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ひさびさの一気読み。

美容整形でも、お化粧でも、ダイエットでも、ふたつの側面があるんですよね。

美しくなりたい。
愛されたい。

このふたつはとても近いんだけど全然違っていて、でも交じり合っていて分かちがたい欲望だと思います。でもやっぱり本能に近いのは「愛されたい」のほうだから、必ず「美しくないと愛されない、愛されているのは自分自身じゃない」っていうジレンマの話になって、その傑作といえば「ヘルター・スケルター」(大好き)。

ところが「モンスター」は、男性作家が書いたからでしょうか、徹底的に「美しくなりたい」に特化した主人公が描かれています。少年漫画の主人公が必殺技を身につけていくように、次々と新しく美しいパーツを手に入れていくさまは、たとえ美容整形の費用を稼ぐために極貧生活を強いられていても人間関係が最悪でも、不思議と悲壮感がなく、むしろ爽快。彼女がコンビを組む(「コンビを組む」という言い方がぴったりなんです)美容整形外科医もまさに勇者をサポートする魔法使いか賢者かといった役どころで、彼が理路整然と説明する「次の必殺技の解説」が非常に面白いです。特に終盤、もう充分美しくなったあとの最後の微調整のところは唸りました。美って見る人の心理を操ることなんですね。

見る人の心理を操るといえば、主人公が外見に合わせて身につけていく人心掌握術もとても面白い!これが、自分の内面を変えるってことじゃないんですよね。振る舞いを変えるだけ。「別に賢くないけど『賢い』と人に言われる術」なんてもう、最高ですよ。

これは大人の女性のための精神の冒険小説だと思います。「岡崎京子『ヘルター・スケルター』のパクリじゃないの?」と避けてた方、安野モヨ子「さくらん」が好きな方、美容整形してなくてもお化粧かダイエットしてるならばおすすめ。

ラスト一行もぞくっと来ます。

ちなみに、百田尚樹といえば「永遠の0」ですが、個人的に「凄腕の零戦乗り」が出てくるだけでダメなんです。史実に基づいた戦争もので、戦闘機乗りがヒーローっていうのは、ごめんなさい、合わないんです。ということで読んでないんです。

それから「影法師」を薦められて読んだんですが、途中まではめっさ面白かったのにラストが浅田次郎ばりの叙情になってしまって、いや、浅田次郎も好きなんですけど、なんていうんでしょう、主人公が突然センチメンタルになるのがダメでした。おまけのエピローグもダメでした。

そんなわけであんまり読む気がしなかった「モンスター」なんですが、文庫版の表紙が良かったので読んでみたのでした。読んでよかった。映画も観たいな。

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