自主映画や小劇場を中心に活動する俳優・外山弥生の記録です。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

子どものころ、彼には白い塔が見えていた。その白い塔に挑むようにして、彼は天才的なスリの腕を磨き続けた…。

久々に戻ってきた東京で彼が出会う、かつての仕事仲間、幼い万引き少年、そして最悪の男『木崎』。彼が挑む最後の大仕事は、果たして何をもたらすのか。

Amazon商品ページ

* * * * * * * * * * * *

年末年始に読んで面白かった本その2!父の本棚から奪ってきました。父はいまいち楽しめなかったようですが、私は一気読みでした!

楽しめない理由もわかるんです。スリの手口の描写なんかはとてもエンタメなんですけど、一方で情景描写はすべて主人公の心象風景でもあるので、そういう意味では純文学っぽい。なんかふわっとしてるんですよね。

なんですけど、主人公にとっての「スリ」が、職業ではなくて本質であるところがとても気に入りました。他に仕事がないから嫌々やっているわけではない。かといって心から楽しんでいるわけでもない。世間的に悪いことだという認識はあり、辞めたいという気持ちもなくはない、一方で、毎日アスリートのように技術を磨き続ける。スリであることと自分であることが一体化している。

そんな主人公が、生活苦のために万引きを繰り返す少年に出会うのですが、この子に対する振る舞いもとてもいいんです。で、このくだりを描くためにはやっぱりスリの技術の描写はいるよなあ、でも、これが描きたいんだったらエンタメには振り切れないよなあ、と思ったり。

「普通」でいることの大事さと困難さについて考えたことのある人に読んでほしい作品です。なんて、偉そうだけど、つまり、お芝居が好きか嫌いか考える以前にお芝居を始め、考えることなく続けてきてしまった自分に重ね合わせたりしたのでした。お芝居を好きになったのって、わりと最近なんです。この話はまたいつか。

トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。