自主映画や小劇場を中心に活動する俳優・外山弥生の記録です。
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平凡な女子高生ノリコは、突如迷い込んだ異世界で異形の青年イザークと出会う。
超人的な能力でノリコを守り、ときに不器用な優しさを見せるイザークにノリコは
惹かれていくが、イザークは一人呟く。
「俺はいつかノリコを殺さなければいけない。」
異世界に語り継がれる「天上鬼」と「目覚め」の伝説。諸国で起こる政治的事件。
分厚い世界観を背景に語られる、ノリコとイザークの壮大な冒険ファンタジー。

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ずっと読んでみたいと思いつつ、コミックスで14巻、文庫で7巻もあるのでなかなか
読めずにいた漫画です。90年代の少女漫画というのもなんとなくネックでした。
ファンタジーのかたちを借りた、ただの恋愛ものなんじゃないかなー、と。

大間違いでした。すごいです、この漫画。

イザークは正統派にかっこいいヒーローです。強くて、美形で、ヒロインに一途。
でも、物語を引っ張るのはイザークの魅力ではない。
ヒロインであり主人公であるノリコの人間的魅力です。

例えば、異世界に放り出されたノリコが最初に取り組むことは、言葉を覚えること。
そのきっかけが、倒れていた人をイザークが助けたときに、
「私にはイザークのような戦う能力も、薬の知識もない。でも、言葉が分かれば、
この人が『水をくれ』と言っていたのがわかったはずだ。水をあげるくらい、私にも
できたはずだ」
と考えたことです。

イザークは物語の中でどんどん強くなり特殊能力を身につけていきますが、
ノリコにはほとんどそういった変化がありません。ノリコはただ、そのとき自分が
できることは何か考え、それを精一杯実行し、その中で人として成長していくだけです。
でも、そういう努力、そういう成長が何より大事で何より大きい。
一人一人のそういう成長が、やがて世界を変えるかもしれない。
啓発的とも言えるメッセージが、決して説教くさくなく、物語を通して伝わってきます。

だからといってお堅い話かと言えば決してそんなことはなく、
少女漫画離れしたアクションシーンの描写力もこの漫画の魅力です。
作者はカンフー映画ファンなんじゃなかろうか。
少女漫画なのに、アクションがちゃんと考えられていて、構図もなかなかかっこいいです。
一巻では主に剣で戦うイザークですが、必要に応じて体術も使えば気功のような技も使う、
敵の武器を奪ったかと思えば、農家の鍬を拝借して戦いもする。
いまだかつて鍬を構えて決めポーズをとった少女漫画のヒーローがいただろうか(笑)
敵の能力も千差万別、少年ジャンプのノリで楽しめます。

で、恋愛部分はきっちり少女漫画。期待を裏切らない少女漫画。このギャップがいい。
でもやっぱり少女漫画としては、恋愛部分は少なめかなあ。
ヒロインとヒーローが割と別行動をとるっていうのも、少女漫画らしくない感じです。

各国の政治的背景からモンスター、小物の造形まで、世界観もきちんとしているので、
ファンタジー小説ファンでもかなり楽しめると思います。キモ可愛い動物、多数登場。

今の私にとってすごくタイムリーなテーマだったというだけでなく、素晴らしい作品だと
思います。こんな骨太な作品を90年代に掲載してた『LaLa』という雑誌も凄い。

というわけでファンタジー好きな方は是非。
「アミ 小さな宇宙人」とか好きな方も是非。
登場人物が多く、人物関係もそこそこ複雑なので、横文字の名前が苦手な方は
買って読んだほうがいいかも。
私は漫画喫茶で読みましたが、気に入ったので文庫版を、いや古本で探して
コミックス版を買おうかな。ケチってるんじゃなくて、大きいサイズで読みたいんですよ。
やっぱりいい映画は映画館で、いい漫画はできるだけ雑誌掲載サイズに近い大きさで、
と思ってしまいます。

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ちなみに、一巻でちょこーっと張られてた複線がラストで生きてきます。妙な涙が出ました。

【2009/09/25 11:35】 | おすすめ/漫画
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