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自主映画や小劇場を中心に活動する俳優・外山弥生の記録です。
身体ばかりが大きくて、馬、弓、刀、果ては農作業、何をやらせてもまるでダメ。
ついたあだ名が「のぼう様」。
「でくのぼう」を縮めて、申し訳程度に「様」をつけて、「のぼう様」。
百姓からもそんなふうに呼ばれてまるで気にしない、忍城当主の従兄弟・成田長親。
彼を中心に、朱槍の名手・正木丹波守利英、戦いが命の巨漢・柴崎和泉守、
自称智将の紅顔の美少年・酒巻靱負、男勝りの絶世の美女・甲斐姫と、個性豊かな面々が
石田三成の軍勢相手に繰り広げる、ハリウッド映画並みのど派手な冒険活劇!

二万超の三成勢に対し、手勢は百姓を入れても二千余り。
果たして勝機はあるのか!?
「のぼう様」は活躍することができるのか!?
っていうか、やる気あるのか!?

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久々の時代小説大ヒット。
当初、映画の脚本として書かれただけあって、とにかく映像的でスピーディーで
飽きさせません。
冒頭の秀吉のシーンでひきこまれ、即買って帰って一気読みしました。
寝不足になりました。
そして父に送りました。父も寝不足になったそうです(笑)

人物の魅力と戦法の面白さを中心に描かれているので、歴史の知識がなくても
大丈夫。ここ、個人的に重要です(笑)

なんといっても主眼は「のぼう様」。
とにかく動かない。たまに動いても活躍しない。
いまだかつてこんなにかっこ悪くてやる気の見られないヒーローがいただろうか
というレベルです。でも、ヒーローなんです。
ネタバレするとつまらないので書けませんが、確かにヒーローなんです。

そして私のご贔屓は酒巻靱負(さかまき・ゆきえ)。「ゆきえ」だけど男性です。
家臣の中で唯一戦闘経験がなく、年かさの家臣たちに負けたくない一心で
兵法書を読み漁って理論だけは一人前なものの、却って頭でっかちのひよっ子と
馬鹿にされる始末。それでも自らを戦の天才と言ってはばからず、更に失笑を買う。
そんな彼が手勢として選ぶのは年老いた百姓兵ばかり。
ひよっ子と年寄りの一群が、居並ぶ三成兵をいかに・・・いや、これ以上は読んでの
お楽しみということで。
若武者らしいちょっとした恋のエピソードなどもあり、実に思い入れしがいのある
キャラクターです。

時代小説好きよりも、伊坂幸太郎「ゴールデン・スランバー」や岡島二人「99%の
誘拐」など、現代のはらはらするような活劇ものが好きで時代物はちょっと苦手、
そんな人にあえておすすめしたい時代小説です。
装丁がオノ・ナツメなのも、きっとそういう思惑なのでしょう。黒地に切り絵ふうの
モダンで美しい装丁です。

2010/1/6追記:和田竜の著作は現在三冊。二冊目の「忍びの国」はおすすめ。
三冊目の「小太郎の左腕」はいまいち。この人の作品には、今までにない斬新な
キャラクターが登場していないとつまらない。筆力だけで読ませるほどにはまだ
至らない、と、偉そうに言ってみればそんな印象です。

【2009/09/28 13:10】 | おすすめ/本
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