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自主映画や小劇場を中心に活動する俳優・外山弥生の記録です。
死にたがりのタヌキ、人嫌いのサギ、本気を出さないイタチ、痛みでしか人と関われないキツネ。
やる気も生きる気力も持たない三十がらみの男たちが、強烈に「生きたい」少女クマを守る
ことで変わっていく、生き返っていく。暴力と能書きと再生の物語。

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冒頭はヤマシタトモコ節全開すぎて、好き嫌いがかなり分かれそう。
小説並み、いやそれ以上に台詞が多くて、且つ文学的というのかハードボイルドというのか、
もってまわったやたらかっこいい言い回しばかり。
正直、「こんな会話する人いないよ」と思ってしまいました。

が。

読み進めるにつれ、ヒロインのクマこと十和子(とわこ)の魅力が炸裂しはじめます。
生きたい。とにかく生きたい。まっとうに生きて幸せになりたい。
十和子の持つ強烈な「生きたがり」の個性が、かっこつけて本気を出せない大人たちを
巻き込んで、物語を加速します。

終盤間近、「悪の親玉」と十和子の対決は鳥肌もの。
台詞は相変わらずクサイのに、十和子のエネルギーがそれを上回るので、クサイ台詞が
リアルに突き刺さる真実の言葉に変わるのです。
これがやりたいがための序盤なのかと思うほど。

ここ数年で気付いたことなのですが、私自身ものすごい「生きたがり」なんです。
そのせいか、不恰好に生きたいとあがく十和子に強烈に共感してしまいました。
自分の中の「生きたがり」に気付いた方、いやむしろ自分は「死にたがり」だと思う方、
そんな人に読んでほしい一冊です。元気出ます。

一応、ジャンルがBL(ボーイズラブ)なので、男同士のキスシーンがダメな方はスルーで。
個人的には、ヤマシタトモコとよしながふみはBL嫌いでも読む価値ありと思ってますが、
生理的な好悪はありますものね。
ちなみに私はBL好きでも嫌いでもありません。

余談ですが、久々に会った高校の時の友達に「ヤマシタトモコいいよ!」と力説したら、
彼のかばんからこのコミックスが出てきてびっくりしました。
それでいいのか、32歳IT系勤務独身男子。

【2009/09/30 09:09】 | おすすめ/漫画
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