自主映画や小劇場を中心に活動する俳優・外山弥生の記録です。
フィリップ・マーロウに憧れて探偵稼業に飛び込んだ主人公。
しかし現実は甘くない。
いや、むしろ甘い。
拳銃、美女、謎の悪の組織は待てど暮らせど現れず、
捕獲網、迷い猫、うわさ好きのおばちゃんたちとの平和で退屈な日々。
ところがそんな彼が、「ダイナマイトボディの美人秘書」を手に入れたあたりから、
事態は急変し・・・!?

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「明日の記憶」や「僕たちの戦争」ですっかりメジャーになった荻原浩ですが、
この作品は案外知られていないのでご紹介。

ミステリーであり、コメディーであり、サスペンスであり、人間ドラマであり、ハードボイルド
小説のパスティーシュであり、非常にジャンル分けの難しい作品です。
しかしそのどれも中途半端に終わっていないので、思いきり笑い、思いきり泣き、
思いきり怖がり、思いきり感動することができます。非常に贅沢な一冊です。

ここ数年で私が最も好きな二大作家といえば、伊坂幸太郎と荻原浩なのですが、
この二人の違いは実に興味深い。

伊坂幸太郎は、「悪人の心にも五分の良心」といったようなことをやってのけます。
彼の描く世界は非常に酷なようでいて、実はおとぎ話と善意に満ちています。

一方、荻原浩は、「善意の暴力」を描かせたらピカイチです。誰も指摘しなかった、
でもうすうす気づいていた、「普通の人が自分を守るためにふるう暴力」、
「善意の塊のような人が善意ゆえにふるう暴力」、これが、犯罪を犯そうと思って
ふるう暴力よりもっと怖いということを容赦なく指摘します。
「明日の記憶」に出てくるのは前者の暴力、本作品に出てくるのは後者の暴力ですね。

これ以上はネタばれになるのでやめておきます。
この作品の魅力は唯一無二であること。笑えて、泣けて、怖がれて、感動できて、
誰も扱わなかったモチーフとテーマをごっそり盛り込んで、こんな小説見たことない!
まだ読んだことない方は、定価で買っても絶対損はしません、是非ご一読を。

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本棚の整理だとか、「これ面白いから読んで!」と人にあげたりだとか、過去に
何度か手放しているのですが、気づくと買ってきて再読してしまいます。
つい先日も買い直して読みふけったのでした。あー、面白かった。

【2009/10/08 09:27】 | おすすめ/本
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