自主映画や小劇場を中心に活動する俳優・外山弥生の記録です。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「砂漠に雪を降らすんですよ」
大学一年生の春、西嶋は大真面目にそう言った。

冷めた北村、デブでキモくて暑苦しい西嶋、そんな西嶋をなぜか好きな美女・東堂、
プチ超能力少女・南。東西南北の四人にトラブルメーカーの鳥井が加わって、
麻雀のように時にゆったり時に怒涛のように過ぎていく大学生活を綴った青春小説。

アマゾン商品ページ

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 

昨日ご紹介した三浦しをん「まほろ駅前多田便利軒」と同時に直木賞候補に
上がっていたのが本作品です。
初めに言っておきますが、この作品は文句なしに「買い」です。ソフトカバー
なら定価980円、定価で買っても惜しくないほど楽しめます。

伊坂幸太郎ですが、ミステリー色は薄めです。五人の主要人物を中心に
様々な事件が巻き起こり、謎が謎を呼びますが、主眼は五人の大学生活
にあります。

なんといっても会話が楽しい。大学生特有の、他愛なくも延々と続く漫才の
ような会話。自分の大学生活を思い出して懐かしい気持ちになりました。
言葉遣いも意識的に今ふうにしてあります。

それから恋愛模様。高校生よりはお金があり、社会人よりは時間がある、
そして主張もこだわりも強い。大学生同士の恋愛にしかないモラトリアム
感覚がよく出ています。

キャラクターも個性的。伊坂幸太郎作品には珍しく「オタク」タイプの西嶋
を始めとして、脇役に至るまであくの強い人物がたくさん出てきます。
面白いのが、伊坂作品につきものの「天才肌の変人」タイプである鳥井が
他の作品の類型キャラクターに比べて小さくまとまっているというか、一皮
むけば凡人であるような描写が多いこと。
そういえば、大学の中では「超天才」「超変人」として扱われていた人たちが、
社会に出て振り返ってみると一大学生の枠内に収まる程度の人物に過ぎ
なかった、そういう経験ってあったなあと思いました。このあたりも大学生っ
ぽさが全編に漂う理由の一つかなと思います。

さて、ミステリー色が薄めといっても、伊坂幸太郎お得意の巧妙な伏線と
終盤での怒涛の伏線回収で読者に与えるカタルシスは健在です。やはり
この、読んだあとの恐ろしい爽快感あってこその伊坂作品。定価の価値
ありとおすすめするのもそこがポイントです。

ひとつだけ戸惑ったのが章構成です。「春」「夏」「秋」「冬」の四章構成です
が、「春」が一年生の春、そのあとなんの説明もなく「夏」は二年生の夏
なんです。以下、三年生の「秋」、四年生の「冬」。初め気がつかずに「夏」
は一年生の夏だと思って読んでしまいました。

さあ、というわけで、上記のことだけ注意すれば大丈夫です。
読みたい本が見つからないあなた、とりあえず本屋さんへGO!

アマゾン商品ページ

【2009/10/28 08:54】 | おすすめ/本
トラックバック(0) |
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。