自主映画や小劇場を中心に活動する俳優・外山弥生の記録です。
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少女の家において、父は絶対の法であった。
父に服従しながら肩を寄せ合って、少女と弟妹と血のつながらない
若い母は暮らしてきたのだった。
父が亡くなり、一家はどのように変わったか。
泣くことを封じられて育った少女は、どのような大人になったか。
宇野千代の自伝小説集。

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人は模倣の動物であると、宇野千代は言います。
人が取るほとんどの行動は、過去の自分もしくは他人の模倣に
過ぎず、全く独自のものであることはほとんどないと、宇野千代は
言います。
本書は、そう主張する宇野千代が、自らのルーツが父親である
と再確認しつつ書いている部分に最大の焦点があると思います。

暴君であった父。
晩年は病のために衰えていった父。
死ぬ直前に往来に包丁を持ち出し、汚物を垂れ流しながら包丁を
振り回して周囲を脅迫しようとした父。
それを見て育った宇野千代が、父亡きあとの母に対して、初めて
好きあった相手に対して、その後さまざまな人に対して、どんな
人間であったか。

まるで彼女ととても親しい別人が書いたかのように、極めて客観的
かつ私的に描かれる宇野千代の半生は、リズム感ある文体と
相まって、引き込まれるような魅力にあふれています。
内容はほかの作品でも語られたことでありながら、また新しい
角度から読めるのが不思議なところです。

著述業ときもの製作、彼女の二つの創作活動が全く交わることの
なかったその経緯も、とても興味深く読みました。
小説があったからきものが作れた。
きものがあったから小説が書けた。
二つは全く別個のものとして、宇野千代の人生を支えた。
芝居と音楽という自分の二つの大きな支えについて、ページを
開いたまましばし考え込んでしまいました。

巻末にほんの数ページ、著作をする上でのヒント集のような短い
エッセイがあって、それがまた含蓄のある味わい深い名文です。

両親に疑問や反感を抱いて育った方なら定価でも。
「私、異性運ないなー」という方も定価でいいかもです。
単純に読み物としても面白いので、上記以外の方にも勿論
おすすめです。

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【2009/11/02 08:53】 | おすすめ/本
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