自主映画や小劇場を中心に活動する俳優・外山弥生の記録です。
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かつて京都中にその名を馳せた偉大な狸には
四匹の息子がいた。四匹は父の特徴を仲良く
四つに分けあって受け継ぎ、それゆえ「父の
偉大さに迫ることのできなかった残念な息子達」
との評判をとっていた。

聡明だがパニック気質の長兄、やる気のなさの
あまり蛙に化けて狸に戻れなくなった次兄、化ける
才能を浪費して遊び暮らす三男に、気弱で人に
化けるのもままならぬ末弟。

往年の大天狗だの、美貌の半天狗だの、あくどい
叔父狸に意地悪で間抜けな双子の従兄狸、
さらには「金曜倶楽部」なる謎の人間集団まで
加わって、京都の街がてんやわんやの大騒ぎ!

どたばた妖怪コメディー連作小説。

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「今年の年末に気楽に読める本ある?」と聞かれたら
まっ先にこれを挙げます。

映画のような小説が数ある中、この小説はアニメのよう
です。良い意味で荒唐無稽で、映像的なイメージに
溢れています。

宝塚ファンの母狸が美青年に化け、息子狸が娘役ばりの
美少女に化けて連れ立ってビリヤードに出かけたり。
半天狗の美女と老教授と狸が夜の京都を屋根伝いに
散歩して紅葉狩りに出かけたり。
映像的で美しくかつユーモラスなシーンがちりばめられて
いて、想像しようと努力しなくても、頭の中で「活動漫画」
が展開していきます。

悲しいシーンや怒りに満ちたシーンもどこかユーモアが
あって心楽しく読めるのもおすすめポイントです。何しろ
登場人物たちが愉快すぎるので、深刻な話になりえない
のです。

私の好きなキャラクターは二男の矢三郎。すべてにおいて
やる気がない。「息をするのも面倒くさい」と言って母を
怒らせる。怒った母に川に投げ込まれるも「助かるのも面倒
くさい」と言ってそのまま川を流れていく。ついには狸で
いるのも面倒くさくなって、蛙に化けて井戸に移り住んだ
ところ、いつの間にか狸に戻る術を忘れて仕方なく蛙として
暮らしている。もうこれだけで好きで好きでたまらない
キャラクター造形ですが、実は彼にも二重三重の事情が
あって・・・これ以上は本書を読んでのお楽しみ。

京都のうだるような夏に始まって、最後の話は初詣の
シーンで締めくくられるので、季節的にも今がうってつけ。
今年をのんびりと振り返りつつ、くすくす笑ったりほろりと
したり、こたつで気楽に読むには格好の一冊です。

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【2009/11/25 08:54】 | おすすめ/本
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