自主映画や小劇場を中心に活動する俳優・外山弥生の記録です。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

保育士の睦月(むつき)が好きになったのは内気な腹話術師。
ある日幼稚園でちょっとした事件が起きたとき、その彼が颯爽と
解決して・・・ん?解決してくれたのは、腹話術人形だった!?

骨のあるトリックをユーモアとちょっぴりのラブコメ要素で
包み込んだ、ハートフルな本格推理短編集。

Amazon商品ページ

* * * * * * * * * * * * * * *

島田荘司に強く影響を受け、ペンネームをつけてもらったという
作家はたくさんいますが、我孫子武丸(あびこ・たけまる)も
その一人です。

この人も作風が非常に幅広い人で、残酷な話で読者にダメージを
与える能力は日本一だと私は思っています。が、一方でとても
ユーモアと温かみにあふれた作品もたくさん発表しています。
今回ご紹介するのは後者です。

内気で無口、だけど腹話術の腕はピカイチな朝永というキャラク
ターが、朝永に恋する睦月の目を通して非常に魅力的に語られて
います。言いたいことをしばしば腹話術人形に代弁させる、人形
を別人格として扱う。現実にいたらあまり友達になりたくない
タイプの朝永ですが(笑)、小説の中だからこそなのか、シャイ
で心優しい好人物としてすんなり読めます。

物語は睦月目線で進むので、次第に腹話術人形は登場人物の一人
として扱われるようになります。朝永とは正反対の(といっても
現実的に見れば朝永自信なわけですが)毒舌で自己主張の強い
人形のキャラクターもなかなか楽しいです。

主人公の睦月はといえば、なかなかに現実主義者で、朝永に心酔
しているわけではなく、ちょっと現実社会に馴染めない彼を大らか
に受け止めているといった印象。睦月の程よいさばさば感が物語を
引き締めています。

勿論、島田一派だけあってトリックはしっかりしたもの。短編集で
ありながら、謎解きの読み応えはなかなかのものです。

これがシリーズ第一作であり、現在、文庫化されているものだけ
でも四冊ほどあるようです。睦月と朝永のもどかしい恋愛模様に
やきもきしつつ、気楽に&本気でトリックを楽しめるおすすめの
シリーズです。古本屋さんで半額以下になっていたらとりあえず
「買い」です。

尚、この作家の残酷長編は本当にしゃれになりません。
殺戮にいたる病」なんて、本気でのめりこんだら心を病みかねません。
このシリーズで我孫子武丸にハマった方は、「速水三兄弟シリーズ」に
進むこと、そしてそれ以外の単行本はよくあらすじと自分の精神状態を
吟味してから読むことをおすすめします。
面白いんですよ。面白いんですけど、しゃれにならんのです。


Amazon商品ページ

【2009/12/06 08:51】 | おすすめ/本
トラックバック(0) |
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。