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自主映画や小劇場を中心に活動する俳優・外山弥生の記録です。
「悪くない」という名前の下町のビストロ「パ・マル」。
長髪を浪人ふうに縛った不精ひげの無愛想なシェフは、実は
名探偵でもあったのです・・・!?

爽やか美青年のスー・シェフ、俳句好きでお茶目なソムリエール、
個性的な常連の面々と、四季折々の美味しそうなフレンチレシピを
織り交ぜて、ちょっと気弱なギャルソンの視点から描く、極上の
美食ミステリー短編集。

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先日ご紹介したアンソロジーで知った近藤史恵の短編集を読んで
みました。気軽に読めそうで、気に入らなかったらすぐ放り出せる、
なんて失礼な選び方で短編集にしたのですが、これが大当たり
でした。

全部で7編入っていますが、ハズレがありません。
安心して読めるかっちりした構成、生きた登場人物、ちょっとだけ
意外でちょっとだけ心温まるラスト。そして美味しそうな料理の数々!

フレンチ・レストランが舞台ということで、フランス料理やワインの
名前がたくさん出てくるのですが、詳しくない方でも大丈夫。
(私も無知です。)むしろ、フレンチに詳しくない読者がフレンチに
興味を持てるように書かれています。料理の作り方などもかなり
詳しく描写されているので、読んでいるとおなかが減ってきます(笑)

「パ・マル」の面々はやや類型的なのですが、レストランを訪れる
お客さんたちのキャラクターは非常にリアルかつ魅力的です。
特に女性キャラクター。この人は本当に女性心理を描くのが上手い
です。ほかの小説ではちょっと描かれないような、それでいて女性
なら誰もが思い当たるような、女性ならではの利己性や寛大さが、
さりげない台詞や仕草で表現されていたりして、耳が痛いったら。
(いや、小説だから、『目が痛い』かしら?)

おすすめは「ロニョン・ド・ヴォーの決意」。店を訪れたカップルの
女性のほうがシェフの料理を食べてある決意をするのですが、
その決意の内容だの、それをわざわざシェフに宣言する性格だの、
その宣言の仕方だの、もう「ああ~、女ってイヤだ~」と読みながら
悶えてしまいます。でもラストは、ある人物の奥さんである女性の
行動に、「ああ~、女でよかった~、こういう女になろう」って思う
のです。

時代小説なら断然池波正太郎「剣客商売」だと思う方、
映画「たんぽぽ」のオムライスが食べたくて作ってみた方、
別にスローライフ志向じゃないのについ「かもめ食堂」とか「食堂
かたつむり」とか映画館で観てしまう方、
「美味しんぼ」の料理は好きだけどストーリー展開が鼻につくな~
という方、
ほっとできる小説が読みたい方と、

・・・・・・美味しいものが大好きなあなたに。

定価でも買いですが、この作家さんは比較的図書館に揃っている
ようです。

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続編が出ているので、次はそっちにとりかかる予定。

【2010/01/24 08:52】 | おすすめ/本
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