自主映画や小劇場を中心に活動する俳優・外山弥生の記録です。
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民子が忘れられない。
彼女は夜ごとチャブ台のかたわらに座って、
一文にもならぬ私の原稿を読んでくれた。
「とてもいいわ、その調子よ」

小説家と、茶色のしまの毛皮に長い尻尾を
持った民子の物語。
フォトブック形式の小説、巻末に浅田次郎
直筆原稿の写真掲載。

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* * * * * * * * * * * *

あーだめだ、何回読んでも泣いてしまう。
ブログを書くために読み返して、また泣いて
しまいました。もうね、本編が始まる前の、
写真だけのページで泣いてしまいますもん。
それから、

「とてもいいわ、その調子よ」

のときの民子が小説家を見上げる表情に
毎回やられます。どんな写真なのか知って
いるのにやられます。そのあと、犬を連れた
小説家のロングショットにほろりと来て、

「最高よ。おめでとう」

の民子の表情でボロ泣き。分かってるのに
毎回ボロ泣き。

写真が素晴らしいんです。猫の表情をよく
捉えているのは勿論のことなんですが、
細部までよく考えられていて、静止画像で
作った映画のようです。読むたびに一枚の
写真に込められた意味の多さ、深さに驚き
ます。小説家が犬を連れている意味、とか。

で、写真だけが素晴らしいわけではなく、
もちろん浅田次郎の文章あっての一冊です。
あらすじをまとめてしまえば大変ベタな物語、
写真の雄弁多弁も相まって、メロドラマにも
なりうるお話なんですが、抑制の効いた文が
ドラマを引き締め、引き締めているがゆえに
却って読者を泣かせるのです。

本編は創作ですが、巻末には浅田次郎が
実際飼っていた猫のエピソードもあり、
こちらも本人の筆になるもので大変良いです。

ペットフードのCFとして制作されたものの
書籍化らしいのですが、CFのほうもぜひ観て
みたいですね。どなたかネット上で動画でも
見つけたら教えてくださいませ。

それにしても、本編が四百字詰め原稿用紙
一枚分、巻末エッセイが二枚分、たったの
千二百字なんですよね。エッセイのあとに
収録されている直筆原稿の写真を見ると、
「たったこれだけか」と驚きます。それほど
密度の濃い映画、小説、いやフォトブックです。

猫好きなら定価でも躊躇なく買うべきです。
「近頃、良質の恋愛映画を観てないなあ」と
いう方にも。

あーだめだ、思い出して泣けてきた。
もっかい読も。

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【2010/03/23 08:13】 | おすすめ/本
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