自主映画や小劇場を中心に活動する俳優・外山弥生の記録です。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

その3軒のお隣さんを支えていた虚構の幸福は、
ハムスターのバッハの脱走によって完全に崩壊した。
そしてバッハは世界をめぐる冒険の旅に出たのだ。
(「お前のことは忘れていないよバッハ」)

軽妙なタッチと独特の着眼点が光る短編集。

Amazon商品ページ

* * * * * * * * * * * * * *

上記の「お前のことは忘れていないよバッハ」を読む
ためだけにこの本を手に取っても良いと思います。
そしてそれが他の作品にもついて同様に言えます。
それほど珠玉の、言い古された表現ですが、珠玉の
短編集です。

まず「お前のことは忘れていないよバッハ」という短編。
二人の人物の会話形式、しかも初めから「作り話だよ、
リアリティなんか追求しないでね」という、型破りな
前置きつきです。あっけにとられつつも、軽妙な会話に
乗せられ、ハムスターの冒険という絵本的ファンタジー
に惹かれてつい読み進めてしまいます。進めば進む
ほど物語は虚構性を増し、なにやら収拾のつかない
感じになっていくのですが・・・。
ラスト数行でいきなりずどんとリアリティが迫ってきます。
秀逸。

「カノン」。上記の作品とはちょうど逆の構成です。
全く新しいかたちのラブストーリーと、思いきや、ラストで
とんだ肩透かしをくらって笑い出してしまいました。

「ストーリーライター、ストーリーダンサー、ストーリー
ファイター」。この人の軽妙な語り口はやはり十代を
主人公に据えたほうが格段に生きてきます。いきなり
幽体離脱した主人公の一人称でぽんぽん物語が
広がっていき、一体どこに着地するのかはらはらさせた
挙句、なんと友情ものとして見事に完結しています。

こうやって書いていくときりがないのであと一作だけ。
表題作の「ルート350」。たった2ページ半の掌編。
さらに本筋はほんの19字。なのにきちんとたっぷり
ラブストーリー。

全体の印象は、『分かりやすい村上春樹』。文体は
読みやすく映像的なので、突飛な設定も苦労せず
楽しく読めます。村上春樹、荻原浩、伊坂幸太郎が
好きなら買ってもよし。文章を書くのが好きな方にも
よいお手本になるのではないでしょうか、というと
偉そうですが、私自身とても勉強になりました。
ほどほどの本好きさんも、見かけたら是非手に取って
みてください。

Amazon商品ページ

ツイートボタンブログパーツ

【2010/04/04 08:53】 | おすすめ/本
トラックバック(0) |
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。