自主映画や小劇場を中心に活動する俳優・外山弥生の記録です。
新進画家の大村は、ベテラン売れっ子画家室生の
芸術院会員選挙のための根回し運動に奉仕していた。
室生の人柄は好きではないが、彼が会員になれば
大村も出世できるのだ。

「芸術院」という画壇における議会の選挙をめぐって、
欲得ずくの画家と画商と政治家の駆け引きがスリリング
に描かれる。


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まるで画壇版の「白い巨塔」です。簡潔な文体で二重
三重の裏を持ったやり取りが淡々と、しかし緊張感
たっぷりに描かれます。欲にかられた登場人物ばかり
わんさと出てきて、画家という職業の芸術家らしい
イメージはぶち壊し。嫌ったらしい人間がうじゃうじゃ
出てくるのにうんざりする絶妙のタイミングで、逆に
世俗を超越したようなキャラクターが出てくるのも
素晴らしいです。室生の対立候補稲山とその孫娘・
梨江の清廉さは心地よいし、画商・殿村の洒脱さに
うっとり。

主要人物が次々と勢ぞろいする序盤はテンポがよく、
中盤は駆け引きの裏事情の説明にだいぶ地の文が
割かれ、多少中だるみしますが、後半の意外な展開
から一気にラストシーンへのなだれこむ構成は見事。
ラストの大村の台詞が素晴らしいです。

登場人物がやたら多いのでそういうのを好まない人
にはおすすめできませんが、画壇の選挙という題材の
面白さ、文章のうまさ、人間描写の分厚さが良いです。
図書館にあったら是非。

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【2010/04/05 08:53】 | おすすめ/本
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