FC2ブログ
自主映画や小劇場を中心に活動する俳優・外山弥生の記録です。
母狐は、初めての雪にはしゃぐ子狐のために
手袋を買ってやろうと思いました。けれども
人間に苦い記憶のある母狐は、どうしても町へ
ゆくことができません。

そこで母狐は、子狐の前脚を片方だけ人間の
手に変えてやりました。そして、その手だけを
人間に見せて手袋を買ってくるように言い含め、
町へ送り出したのです。

信じる心と、信じることができなくなってしまった
心と、それでも信じるということの尊さ。

Amazon商品ページ

* * * * * * * * * * * * *

色鉛筆で描かれた絵がとてもうつくしいです。藍色
の夜空や風景が、橙色のまちの灯りや狐の毛並み
を引き立たせ、寒い季節だからこその暖かさが
ファンタジックかつ実感を持って感じられます。

その絵とこの上なく引き立てあう絵画的な文章も
素敵です。帽子屋の黒い看板を照らす青い光や、
月に照らされて銀色に輝く狐たちの毛並みと足元に
伸びるコバルト色の影。子供が初めて読むときは
きっと絵に頼ると思うのですが、読解力がついたら
文章そのものの絵画性も楽しんで欲しいものです。

この短い物語はさらに、視覚だけでなく聴覚にも
訴えかけてきます。子狐が帽子屋の木戸をたたく
「トントン」、葉っぱのお金ではないかと危ぶんだ
帽子屋が銅貨同士をかち合わせる「チンチン」、
ありふれているようでよく練られて美しい擬音が
想像力を刺激します。

一般に小学校低学年くらい向けとされているようで
すが、文章がちょっと難しいので、小学校に上がる
前後くらいから大人が読み聞かせをしてあげて、
本人が興味を持って一人で読み始めたら、分からない
単語などちょっとだけ手助けをしてあげるというのが
理想かなあと思います。物語の意味がちゃんと分かる
のは、高学年になってからでもいいし、大人になって
ふと読み返してからでもいいでしょう。それまではただ
このおはなしのうつくしさを楽しんで欲しいです。

「ほんとうに人間はいいものかしら。
 ほんとうに人間はいいものかしら」

人を疑うことを知らない子狐が、町で人間の温かさに
触れ、家に帰ってそのことを話したとき、驚き呆れて
ほっとしながらも呟く母狐の上記の言葉が印象的です。

とても寒くてあたたかい冬のおはなし。
大人のご友人へのプレゼントにもどうぞ。

Amazon商品ページ

ツイートボタンブログパーツ

【2010/04/12 08:52】 | おすすめ/本・児童
トラックバック(0) |
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック