自主映画や小劇場を中心に活動する俳優・外山弥生の記録です。
「僕たちは以前、親友だった」
と電話の向こうの見知らぬ男は言った。

後日、男の代理人と名乗る女から渡されたのは、
大金と一枚のフロッピーディスク。
そこに書かれていたのは、とても現実とは思えない
ような、しかし奇妙に現実と符合する物語だった。
これは本当のことなのか?物語に導かれるように
して、『私』は過去を確かめる心の旅に出る。

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こんな問いがあります。

『もし、崖にあなたの大事な人が二人、たとえば妻と娘
がぶら下がっていて、どちらか一人しか助けられない
としたらどっちを選ぶ?』

この物語の主人公は二人います。
一人は『私』。
もう一人は『私』に作中の物語を届けた男。
そしてその二人ともが、不器用ながらも、大事な人を
二人とも助けるために力を振り絞ります。

文庫の背に「時間を超えた究極のラブストーリー」と
ある通り、物語の核となるのはタイム・パラドックス
なのですが、それはあくまで仕掛けとしての核で、
本当に物語を支えているのは「愛情」というテーマ
です。

そのせいかなあ。

個人的な話になるんですが、不倫が本当にダメなん
です。自分がしないだけじゃなくて、他人がするのも
理解できません。友人が不倫してるって知ったら、
たぶん友人でいられなくなると思います。どんなに
譲歩しても理解不能だから。それはフィクションでも
同じことで、主人公にどんな理由があっても、不倫
してる時点で感情移入できないし、その作品自体が
気持ち悪くて読めなくなります。

なのに、この小説はとても気持ちよく読めました。
『私』が思いっきり弁解の余地なく不倫してるという
のに。たぶん、もっと大きな「愛情」が物語を通して
描かれているから、かなあ。

『もし、崖にあなたの大事な人が二人、たとえば妻と
初恋の人(但し初恋当時の姿)がぶら下がっていて、
どちらか一人しか助けられないとしたらどっちを選ぶ?』

こんな問いは女性には愚問であり、男性には多くの
場合鬼門となるんでしょうけど、この物語は最高の
答えを出してくれているように思います。
(タイム・パラドックスあってのことですけどね。)

タイム・パラドックスものが好きな方、
「マディソン郡の橋」がどうもしっくり来なかったけど
完全に拒絶する気にもなれない方、
それと唐突ですが、「小市民ケーン」が好きな方に。
文庫なら定価でもおすすめです。

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【2010/06/05 08:48】 | おすすめ/本
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