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自主映画や小劇場を中心に活動する俳優・外山弥生の記録です。
時は昭和初期、消えた浮世絵、箏の天才少女が残した暗号、
ステンドグラスの館での殺人事件、三つの謎に立ち向かい
まするは、花村家のお嬢様とその専属女性運転手ベッキー
こと別宮みつ子。

時代浪漫溢れるミステリー連作集!

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三部作の二冊目ですが単体でも読めます。と言っておいて、
あんまりおもしろかったので、まだ読んでない一冊目に遡って
読んで、そのあと最終巻も読むつもりですが。

運転に射撃にとなんでもこなし、百科事典並みの知識を持つ
経歴不詳の女運転手と、まだ14歳ながら好奇心旺盛で元気な
お嬢様。とくれば、女運転手がホームズ、お嬢様がワトソンと
いう図式になりそうですが、そうならないのがこのシリーズの
面白さ。

お嬢様は、世間知らずではありますが、行動力と知性を兼ね
備えていて、自力でずばずば謎を推理していきます。
女運転手を愛称でベッキーさんとさん付けで呼び、必要な時は
頼るけれども、ベッキーさんなしでも大人の男性相手にはっきり
意見を言い、級友の少女たちに14歳らしからぬ気遣いを見せ
ます。彼女が彼女なりに考える「国家」や「正義」や「自由」に
ついて語るシーンはなかなか痛快かつ考えさせられます。

片やベッキーさんは、知識面や世間との折り合いの部分で
さりげなくお嬢様を支えつつも、時にお嬢様のまっすぐさに
打たれたり、子供ゆえの強さに逆に支えられたり。と思えば
お嬢さんとは関係なく知識人と対決してやりこめてしまったり
こちらもまた痛快です。謎の女性、で片づけるには万能すぎる
彼女ですが、この一冊の中である程度その理由が明かされる
ので、その点もストレスなく読めます。

物語中に「あしながおじさん」が出てきますが、精神的な
関係性としてはお嬢様とベッキーさんは「あしながおじさん」
の主人公とあしながおじさんのようです。

そう、このシリーズ、連作ミステリーのかたちをとっていますが、
どちらかというと「あしながおじさん」「赤毛のアン」「小公女
セーラ」に連なる作品なんですね、たぶん。

また、シリーズといっても、一話目は浮世絵を題材にした消失
トリック、二話目は箏を題材にした暗号もの、三話目はステンド
グラスと日本の古典を題材にした館ものと、ミステリー要素を
バラエティー豊かに楽しめるのも特徴です。ミステリーファンと
和もの好きの両方の心を満たしてくれます。

14歳の女の子らしいロマンス要素もばっちり。ロマンスといっても、
昭和初期のお嬢様という設定上、ひと言二言交わす程度の超・
プラトニックですが、そこがまた良いんです。

というわけで、上記少女向け小説及びそれに連なる小説・漫画
が好きな方、(特にさいとうちほが好きな方は必見!)
ライトなミステリをジャンル問わずに楽しみたい方、
(赤川次郎の書くライトミステリが好きな方は是非!)
和のものが大好きな方、
振り袖に袴の大正・昭和浪漫が好きな方におすすめです。
ちなみに私は全部あてはまるので、ほんと、この小説ハマりました。

文庫なら定価でも「買い」です!

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【2010/06/11 08:06】 | おすすめ/本
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藍色
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お気軽にどうぞ。

藍色さんへ
おもちゃ
こんにちは、訪問ありがとうございます!
早速、こちらからもトラックバックさせて頂きました。
北村薫さんの本は、読みやすくて、奥行きが深くて、とてもいいですよね。
同じ本が好きな方にトラックバックいただけて嬉しいです!

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こんにちは。同じ本の感想記事を
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お気軽にどうぞ。
2010/07/20(Tue) 11:51 | URL  | 藍色 #-[ 編集]
藍色さんへ
こんにちは、訪問ありがとうございます!
早速、こちらからもトラックバックさせて頂きました。
北村薫さんの本は、読みやすくて、奥行きが深くて、とてもいいですよね。
同じ本が好きな方にトラックバックいただけて嬉しいです!
2010/07/20(Tue) 18:55 | URL  | おもちゃ #-[ 編集]
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昭和初期の帝都を舞台に、 令嬢と女性運転手が不思議に挑むベッキーさんシリーズ第二弾。 犬猿の仲の両家手打ちの場で起きた絵画消失の謎を...
2010/07/20(Tue) 11:32:48 |  粋な提案