自主映画や小劇場を中心に活動する俳優・外山弥生の記録です。
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本家の長男として挫折・放蕩を繰り返したのち、
アルバイトのつもりで葬儀屋に勤め始めた筆者が、
私生活と仕事を通して感じたことから死生観までを
淡々と描く、随筆的でもあり思想書でもある私小説。

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オリジナル版を読んで感じ入った人もがっかりした
人も読んで欲しい、出す価値のあった増補改訂版。

Amazonのレビューなどでも散々言われていること
ですが、「納棺夫」としての実際のエピソード部分は
それほど多くありません。かなりの部分が仕事を
通して著者が至った死生観に割かれています。

それはいいのですが、その死生観を説明するに
あたって、非常に引用が多く、また引用ジャンルが
多岐に渡りすぎているきらいがあります。ありていに
言うと、あちこちから都合のいい部分だけ借りてきて
借り物の言葉で自分のイメージを説明しようとして
結果借り物のせいでとっ散らかってしまった、そんな
印象を受けました。作者自身も言っているとおり、
テーマをどうしようとか、小説として書くか随筆として
書くかとか、そんな意図もないまま突き動かされて
書き上げたものなのでしょう。貴重な作品ではあり
ますが、完成度は高くありません。

ところがこの「増補改訂版」では「『納棺夫日記』を
著して」という後日談的増補が成されています。
やはりテーマもジャンルも不明確で道筋も定まって
いないものの、突き動かされて書いたものが思い
がけず世に受け入れられた市井の人のその後が
正直に綴られています。また、本編に較べて引用が
少なく、その分著者自身の言葉で改めて死生観に
ついて語られています。恐らく、著者の中で考えが
熟したということなのでしょう。

作品そのものの完成度は高くなくとも、題材として、
またメタ的な作品として非常に意義の高い一冊と
なっています。この作品が世に問われたこと自体が
重要なのだと思います。

題名を見て興味の湧いた方なら、定価でもおすすめ
です。但し、オリジナル版ではなく、この「増補改訂版」
に限ります。

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【2010/07/01 08:00】 | おすすめ/本
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