自主映画や小劇場を中心に活動する俳優・外山弥生の記録です。
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三度の脳出血の結果、半身は動かなくなり、数秒前のことも
覚えていられなくなった。

それでも脳は成長する。それでも知は生存する。

医者であり高次脳機能障害者である著者が、自分と同じ
病気を抱える人が「初めにすがる一本の藁」になれば、と
小冊子として書き始め、やがて単行本化、漫画化、ドラマ化
された著作の、増補改訂版となる文庫版。

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是非文庫版を読んでください。図書館派の方も、図書館に
単行本しかなかったら文庫版を買って読んでください。
かなりの増補改訂が施されており、またその増補の仕方が、
「初めて書いたときその症状の真っ只中にいて当事者として
正直に事実を描写した内容を、増補改訂に当って医師として
振り返るとこうだった」という内容なので、増補改訂を抜きに
読むのはもったいないです。

高次脳機能障害は、傍目には「やる気がない」「だらしない」
「性格が変わってしまった」など性格の問題と思われてしまい
がちなものだそうです。それで、家族には叱られ、街に出ても
理解されず、しかし自分では失敗した、できなかったという
自覚があるので、どんどん閉じこもってしまい、リハビリも
やる気が起きず、悪循環になってしまう例があるとか。例えば
本当に疲れやすく、またバランスをとって立つのが困難なのに
「若くて怪我もしてないくせに優先席に座るな」と言われる、など。

この本は、そういう患者が自分のことを説明する手助けになれ
ば、そして周りに理解してもらうことで回復・社会復帰が早まれ
ばとの願いから書かれた本なので、非常にポジティブです。
普段の生活がとても良いリハビリになるための工夫や、気持ち
がくじけそうなときの対処法、自分の状態を的確に家族や医師
に伝えるコツなど、当事者目線の実践的ヒントがいっぱいです。
患者の家族や友人にとっても、患者をどのように理解したら
よいかの有効な手助けになります。

漫画化・ドラマ化されているだけあって、人間ドラマとしての
読み応えも充分です。まだ病気にかかるなど想像もしない
子供時代からの回想を多く盛り込み、周りの人に対する感謝
を前面に押し出して、時にまだまだバリアリッチな世の中に
対する怒りも見せながら語られる内容は、決してワイドショー
的な興味の対象としてではなく、人間とは何かということに
ついて深く考えさせてくれる上質の私小説に仕上がっています。

何より驚くのが、傷ついても傷ついても再生し適応する脳の
しぶとさ!人体のしくみに興味がある人にはかなりエキサイ
ティングな内容だと思います。

著者だって常に前向きなわけじゃない、身近な人につらく当ら
れたであろう気配は行間から感じられます。でもそういうところ
には、読む人に役立つ程度以上には触れず、全体に元気と
知性と感謝があふれています。読むと元気の出る本です。

少しでも興味があれば定価でも是非買って読んでください!

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【2010/07/24 08:03】 | おすすめ/本
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