自主映画や小劇場を中心に活動する俳優・外山弥生の記録です。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「帰りたくない」
47歳の男と九日間過ごしたのち保護された少女は
そう言った。二人を目撃した沖縄の人々は口を
揃えてこう言った。
「本当の親子だと思った。少女のほうが主導権を
握っているようにも見えた」
九日間の『誘拐』とそれに至るまでの経緯を独自
取材で綴るノンフィクション。

Amazon商品ページ

* * * * * * * * * * * * * *

ゴシップ的なものだと嫌なので、普段こういうジャンル
には手を出さないのですが、twitterで好きな作家さん
が薦めていたのと、調べたら「セックス・ボランティア」
の著者だと分かったので、それならばと思い、読みま
した。読みだしたら止まらず、一気読みでした。

著者は終盤まで極力自分の意見を封じて叙述に
努めています。それでもにじみ出てくる、47歳男の
いびつさ。それは巻末でも述べられている通りの
饒舌さでもあるのですが、同時に物語性でもあります。
彼の言葉は常に宙に浮いていて、何気ないできごと
すら「何気ないできごとを描いた映画のワンシーン」
のように、さりげなくしかし決定的に脚色されています。
その違和感が読者の心に少しずつ積み上げられて
いき、五章の公判での彼の発言によって決壊します。

彼だけではありません。登場する関係者たちの語る
言葉、特に少女の母の語る言葉、そこに含まれる
過剰な物語性とその気持ち悪さ。そして被害者の
少女もまた同じ気持ち悪さを持っています。

性的虐待ということが、誰にとっても他人事ではない
ということ以上に、自己のフィクション化ということが
危機感を持って迫ってくる良書です。

うまくまとめられませんが、読んでみて感じたのは、
「他人事ではない」という圧迫感。おそらく感じるべき
圧迫感なのだと思います。

普段こういうものを避けている方にこそ読んでほしい
です。

Amazon商品ページ

ツイートボタンブログパーツ


同じ著者の「セックス・ボランティア」も良かったので
そちらについてもそのうち書きます。

【2010/08/12 08:06】 | おすすめ/本
トラックバック(0) |
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。