自主映画や小劇場を中心に活動する俳優・外山弥生の記録です。
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「あたしには『合コン』のプロトコルがないの」

通販会社に勤める有村ちさとは、その余りの真面目さと
融通の利かなさに恋愛には縁がないし仕事もいまいち
うまく行かない。
ところが新しく配属された部署で思わぬ特殊能力を発揮、
その特殊能力ゆえに思わぬ事件に巻き込まれ、
その思わぬ事件がまた思わぬ展開を呼んで…

コンピュータ間のデータ授受の約束事を示す用語、
「プロトコル」をキーワードに描く「人と人とのかかわり」の
物語。

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なんだかAmazonでは恋愛小説みたいに紹介されているん
ですが、そのせいでパスしてる人が多かったらもったいない。
恋愛関係のエピソードもないわけではないですが、これは
読後感爽快な成長物語です。

主人公・ちさとはあらゆる人間関係が不得手な上、不得手
であることをある程度よしとしてしまっているのですが、
物語を通して少しずつ人ときちんと関わろうとするように
なっていきます。家族、友人、職場関係。
恋愛はその中の一つの要素として扱われている程度です。

杓子定規な主人公が物語を通して変わっていくという構造は
王道ですが、そのきっかけとして会社内の派閥抗争や情報
漏洩問題を絡ませ、企業小説的な側面が持たせてあるのが
新鮮でした。それだけではなく、主人公が杓子定規に育った
根本に家族の問題を置き、ホームドラマの側面も持たせて
あります。
テンポの速いオフィスでの攻防と、ゆったりとした回想形式で
綴られる、精神を病んだ父への思慕、要領のいい妹への
反発のエピソード。この緩急が実に上手くて、つい一気読み
してしまいました。

で、個人的にツボだったのが、主人公の「間違った外国語
表記が許せない」という癖と、それにまつわるエピソード。
「間違った英語」というのは

こんなやつです。(外部サイトリンク)

あと、こんなのとか。(外部サイトリンク)

こんなのとかね。(外部サイトリンク)

なかなか感じのいい同僚と映画を観に行っても、その同僚が
着ているTシャツに印刷された変な英語が気になってしまう
主人公。「私、この意味不明な文句を堂々と胸に印刷した
男の人と並んで歩くのかしら。そんなの耐えられない!」
珍妙な英語の謳い文句に「あるある」とうなずき、生真面目に
アレルギー反応を示してしまう主人公のコミカルな様子に
声を上げて笑ってしまいました。

「間違った英語表記が許せない」に始まり、「ラフな服装でも
いい会社なのに敢えてスーツで出勤」だったり、「融通が
利かなさ過ぎて相手を怒らせ」たり、一歩間違えば鼻もち
ならないキャラクターになりそうな主人公ですが、どういう
わけか序盤からどうにもこうにもキュート。こういうところが
作者の力量なのでしょうね。

文庫で発売されたばっかり、定価でもおすすめです。
メガネ女子が好きな方、
「Shall We ダンス?」の役所広司が演じる主人公のような
不器用なキャラクターが好きな方、
人間関係がどうしてもちょっと苦手な方に。

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私もいっぱいあるなあ、持ってない「プロトコル」。
がんばろ。

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【2010/10/13 08:04】 | おすすめ/本
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