自主映画や小劇場を中心に活動する俳優・外山弥生の記録です。
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日系アメリカ人で、アイルランド系父母の養子で、
中身はお気楽ちゃっかりラテン系のショーヘイ。

頭が良くて美人でいい奴だけど、変な動物マニア、
常に独創的すぎるホノリア。

クラシックマニアの学者の父とソプラノ歌手の母と
優秀で個性的な兄姉山ほど…の末っ子で優等生
気質のイライアス。

生徒裁判や科学コンペ、動物愛護派のデモ行動
など、ユニークで刺激的な学校生活。
各家庭の人種問題、異文化問題、ディスコミュニ
ケーションの問題。
これら豊富なエピソードを交えて、シカゴの中学生
三人の友情と三角関係を描く、苦笑い青春小説。

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奇抜な題名に心惹かれて手に取り、翻訳が小田島
夫妻と知って読む気になりました。

アメリカの様々な問題を個人レベルに落とし込んで
ほろ苦い青春小説に仕立て上げた良作です。
過度な動物愛護、訴訟社会、人種を尊重しようとする
あまりの人種差別、マスコミ主義に教育問題。
真正面から向き合うには大人にもちょっとしんどい
話題をうまくストーリーになじませていて、子供が
読んでも大人が読んでも面白くまた考えさせられる
作品になっています。

小田島則子・恒志夫妻の翻訳は、アメリカンな空気を
文章にまとわせつつ日本語として気持ちよく読める、
さすがの名訳。日本語の文章を読んでいるのに字幕
つき洋画を観ているような、異文化を味わう面白さと
ストレスフリーに楽しめるらくちんさの共存、とでも
言いましょうか。

私が一番面白く読んだのは、日系アメリカ人で養子の
ショーヘイの家庭でのエピソード。「ショーヘイに自分の
ルーツを経験させなきゃ」と頑張るアイルランド系両親。
でも努力がピント外れで、ショーヘイにとってはありがた
迷惑。よしながふみの漫画「昨日何食べた?」で、ゲイ
の主人公にお母さんが言う「ゲイであることはちっとも
恥ずかしいことじゃないのよ!だからあなたも自信を
持って職場の皆さんにカミングアウトしなさい!」という
台詞を思い出しました。ショーヘイの「おれのルーツは
日本でもあるけど、アメリカでもあるし、アイルランドでも
あるし、他にもたくさんある。どのルーツから何を選択
するか、おれ自身に決めさせてよ」という内容の台詞が
非常に心に響きました。

で、こういう割と深刻な問題がたくさんお話の中に登場
するのですが、というよりそんな問題ばっかりで設定も
あらすじも埋め尽くされているのですが、それをコメディ
にしてしまう演出がとても上手いです。例えば上記の
ショーヘイのエピソードでは、両親の実の子供である、
血のつながらない弟のティムがいいコメディリリーフを
演じています。
ティムは明らかに間違った日本かぶれになってしまい、
ショーヘイを「センセイ」、子供部屋を「ドージョー」と
呼び、ニンジャになったつもりで黒いマントをなびかせて
走り回ります。このティムの可愛らしさや、人種の違う兄
であるショーヘイとの兄弟関係の描写が良いんです。

ただ、あんまり小さい子には読ませたくないかな。
問題に対して子供たちが取る対抗策が、残念ながら
暴力の類なんですよね。現実として、パワーにはパワー
で対応するのも有効ってことはありますけど、それは
あくまで力技と認識した上で取る最後の手段なわけで、
例えば小学四年生くらいの子がこれを読んで「理不尽な
教師にはこういうふうに反撃すればいいんだ」って思っ
ちゃうとよくないかなと思います。
「うわっ、こんなやり方しちゃったよひどいな、でもフィク
ションとしては爽快だよな」と楽しめる年齢、というと、
主人公たちと同じ中学二年生くらいでしょうか。男の子は
一般的にもうちょっと上の年齢かな。

というわけで、親戚の子の高校入学プレゼントなんかに
良い本だと思います。青春小説が好きな大人も楽しめる
と思います。図書館の児童書コーナーを覗いてみて、
黄色い表紙を見つけたら手に取ってみてください。

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【2010/10/31 08:47】 | おすすめ/本・児童
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