自主映画や小劇場を中心に活動する俳優・外山弥生の記録です。
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百合子はボロボロだった。夫の浮気が発覚し、
さらに浮気相手は妊娠しているという。不妊
治療を諦めて、冷え切った夫婦仲を修復しよう
と考え始めた矢先のことだった。さらには育て
の母・乙美を亡くし、父・良平はいつの間にか
めっきり老け込んでいた。

良平は抜け殻だった。後妻の乙美に先立たれ、
なんの気力もなく、日々ごみためになっていく
家の中でただただ生き長らえていた。最後に
乙美と会話したときに、乙美を一方的に怒鳴り
つけてしまったことだけが何度も思い出された。
さらに帰省してきた娘の百合子はひどくやつれ
悩みを抱えているようで、だけどどう接したら
いいか分からない。

これからどう生きていったらいいのか、さっぱり
分からなかった。

そんな二人の前に、金髪・ガングロ・ハイテン
ションで家事万能のギャル・井本が、謎の外国
人青年・ハルミを連れて現れる。
乙美の「教え子」だと名乗った彼女は、二人に
あるレシピを伝えにきたというのだが…。

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去年参加したイベントで手に入れた小説です。
やっと読み終わりました!

去年のうちに読み始めたんですが、途中で
止まっていました。なぜかというと、私の好きな
漫画、こうの史代「さんさん録」に、設定と途中
までの展開がすごく似ていたからです。死んだ
奥さんが遺した「生活の知恵」ノートを鍵に家族
がそれぞれ成長していく物語。なんだかつい、
「さんさん録」を本棚から引っ張り出して読んで
しまったりして、そうこうするうちに台本が届いた
り、他にも読みたい本ができたりして、放置して
いました。

で、今週なんとなくもう一度手にとったのですが、
読み出したら一気読み!

よかった!
当たり前だけど「さんさん録」とは全然違う展開
で、そして、違うとか似ているとか関係なしに、
面白かった!特にラスト!そう来たか!

物語は百合子の主観と良平の主観の半々で
進行します。二人とも、設定としては分かりやすい、
言ってしまえば通俗的な葛藤を抱えています。
夫の浮気とか、妻の死とか、親子の断絶とか。
ワイドショー的に分かりやすい葛藤です。でも、
葛藤の描写がとても丁寧で、複雑で、大人です。
要介護の姑に対する百合子の、愛着とうっとおしさ
と同情と憎しみの入り混じった、でもドラマのように
劇的ではないぼんやりとした感情の描き方なんて、
本当に見事です。

そういう、分かりやすい設定と、非常にリアルで
繊細な内面の描写に、井本とハルミという突拍子
もないキャラクターが加わって、ゆるゆるとした
夢と現実の狭間のような物語が中盤まで展開して
いきます。

で、終盤。怒涛。これぞ怒涛。

百合子の夫の愛人のキャラクターが類型的すぎた
のがもったいなかったような気がしますが、読後感
の良さで帳消しかなと思います。

しかし、男性作家が描いても女性作家が描いても、
妻を亡くした夫というのはダメダメのぐずぐずになる
ものなんでしょうかねえ。そうじゃないお話が読んで
みたいな。

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【2011/01/23 08:54】 | おすすめ/本
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