自主映画や小劇場を中心に活動する俳優・外山弥生の記録です。
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その街には、かつて暴君をハンマーの一撃で倒し、
新たな君主となったという英雄の伝説があった。

新しく観光局長となったペーター・ガンツは、
街の祭りを成功させるべく、ある騎士道保存協会の
若手「騎士」を英雄役にスカウトする。だが彼は、
ハンマーで倒された暴君・ドラッヘンの末裔だった
のだ…!

中世の騎士道と謀略が現代によみがえる、本格
サスペンス・アクション!

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都会出身の若くてキレ者の観光局長、暴君の血を
引く美貌の若者、うさんくさい新聞記者、百年前の
できごとを昨日見てきたように語る伯爵家の執事に
謎の墓をかたくなに守る修道院長、これでもかと
言わんばかりのサスペンスフルな登場人物たちが
かっちりとした絵柄と控えめな演出で描かれます。

青池保子と言えば「エロイカより愛を込めて」ですが、
コメディ色控えめで展開の速いこの中編が、私は
一番好きです。

青池保子の良いところは、少女漫画のフィールドで
描いていながら、その世界観に常に政治・経済が
がっちり食い込んでいるところ。
若き観光局長・ペーター・ガンツの周りに次々起こる
怪事件から、「暴君」と呼ばれたドラッヘン侯の真実を
その「暴君」の血を引く美貌の青年と共に暴くペーター、
というところまでは非常に伝奇ロマン的なのですが、
隠された歴史が明かされるやいなや、物語は一気に
社会派に。ハリウッドばりのアクションを披露していた
主人公も政治の世界に戻り、苦い真実とそれによって
もたらされた諸問題を、観光局長らしく解決します。
このあたりの読み応えは抜群です。

もちろんそれはそれとして、クライマックスもアクション
満載!数ページに渡って描かれる祭りの騎士試合。
いかにも!な騎馬での長槍から、地上に降りて剣と楯、
相手が使う変則武器もありつつ、最後は、えーっ、
西洋にもそういうのあるの!?という勝ち方。
このシーンに限らず、全編中世ヨーロッパトリビアに
満ちていて、知識欲も満たされます。満足です。

同時収録の「女王陛下の憂鬱」「カルタゴ幻想」も、
ページ数は少ないもののいずれも良作。中世とか、
騎士道とか、別に詳しくないけどなんか好き!という
方には大変おすすめです。特に島田荘司「アトポス」
「水晶のピラミッド」が好きな方にはおすすめです。

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